「パノラマ映像を撮影したくなったもうひとつの理由」

理由は「過去の映像が見てみたいと思ったから」です。
「100年前、200年前、1000年前、この場所ってどうだったんだろう?」って思ったことはありませんか?

子供の頃、夢で常滑の小鈴谷海岸あたりの映像だったと思うんですが、全く道路がなかった頃とおぼしき景色を見たことがありました。右手が海、左手は切り立った海岸で、進んでいくと切り立った海岸向こうに村が見える。
道路はアスファルトじゃないし、草ぼうぼうのあぜ道。

それ以来、常滑市の海岸を走るとき、しばしば「この道路って、いつからあるんだろう?」「100年も前だったら、道路もなかったんだろうな」「この先、この道路って残るんだろうか」と思うようになりました。

2016年末、もともと地元だった常滑市に事務所を作ろうと思った頃、大野町にお住まいの方と話をする機会がありました。

噂では聞いていましたが、大野町には、多くの歴史研究家がいらっしゃって、200年前の絵画、100年前の写真などがたくさん残されています。歴史大嫌いの私ですら、思わず見入ってしまいました。
事務所ができてからというものは、いろいろ情報をお知らせくださる上に、関係するであろう写真や資料もお持ち下さって、お借りすることができました。
また、古文書などの資料の入手方法なども教えてくだったんです。

大野海岸は当時のままの輪郭だったことを知りましたし、200年前の絵画に描かれている寺院がそのまま今もあることを知ったとき、歴史嫌でしたけど昔を知りたいし、未来に映像や情報を残していきたいと思うようになりました。
歴史好きになった瞬間かもしれません。
先見性があったのか、単なる興味だったのかわかりませんが、映像を残してくれた人に感謝しました。

私達ができること

頂いた昔の資料を整理して、手渡しくださる人がいたとして、今度は「今の映像」を残すべきじゃないかと思いました。
それで、目をつけたのがGoogleストリートビューの、Googleが一生懸命撮影した映像です。定点映像を撮影して繋いで、360度映像をあらゆるところで見えるようにしたのはすごい。
動画映像や写真って、横を振り向いたり、後ろが見えないのが欠点です。できれば、動画で360度映像が取れたらと思いますが、2017年10月になって、やっとRICOH THETA V(手に入れていませんが)が何とか実用性を持てたんじゃないかと。
100年後、200年後の知多半島に住民がたくさんいて、その住民の一部でもいいので、私と同じように、今私が撮影しているGoogleストリートビューの映像を見て、昔の景色を面白く見てくれることを願っています。

撮影技術の変化

200年前は絵画、100年前から50年前までは写真、30年前は「切り貼りしたパノラマ写真」です。
私の父親世代(昭和10年台生まれ)は、写真を水平方向に10枚ほど枚撮影し、パノラマ写真を作っている人がおおくいらっしゃいます。大野町でも、同じ方法で撮影した写真を保管されていらっしゃる方がおりました。
(常滑市大野町・権田様所蔵)

そこで、現在の技術の最高の方法で、誰かが映像を残さないといけないと思って、私は360度映像(パノラマ写真、VR写真)を撮影しよう、残していこうと決心しました。
あと数年もしたら、いわゆるVR映像(自在に動ける360度動画)をもっと簡単に撮影、共有する仕組みができるでしょうけど、現在は定点の360度写真をメインに情報収集をしています。

昔の写真を整理

今、仕事の合間を見計らって、大野町にお住まいの歴史研究をされていらっしゃる方へご相談をし、古の写真を少しずつ、お借りしています。

いずれ、知多半島全体の映像をお借りし、今、私が撮影している映像とセットでファイリングし、映像にまつわる物語もセットでライブラリを作り上げ、次の世代の方へ引き継ぎしていきたいと思っています。

今撮影しているパノラマ写真は、Googleストリートビューへ掲載します。
Googleや、Googleマップは、そう簡単にはなくならないと信じています。万一ですが、無くなった時に備え、ファイリングもしています。

Googleマップへの掲載写真としては幾分不適切かもしれませんが、大昔の写真もちょっぴり掲載していきます。一応、その場所の写真なので、不適切ギリギリだと思います。

偶然の偶然なんですが(わざとじゃないよ)

THETAで初めて撮影した場所、覚えていますか?
2016年11月6日、常滑市大野海水浴場の砂浜の写真です。
今もGoogleストリートビューで掲載されています。当時は調整もしないで撮りっぱなし(薄暗い)だった上に、ぼかし処理もストリートビューアプリに任せっきりでしたのでちょっと汚いですけど。

 

後に知ったことで、この場所は潮湯治と呼ばれる「世界最古の海水浴場」って呼ばれている場所だそうです。
この場所の話題がきっかけで、昔の資料をお借りするきっかけになりました。
地元の写真愛好家さん、歴史研究家さん双方から同じ情報を頂き、1844年に玉渓が描いた潮湯治の絵を2017年の写真と合成したのが以下の写真です。

1枚めが1844年(170年前くらいですね)に描かれた大野海水浴場の潮湯治の様子。
潮湯治=海水浴とすれば、世界最古の海水浴が常滑市大野海水浴場だ、というわけです。
2枚めが地元歴史家の村田さんからお聞きした、絵画を描いたであろう目線の位置から撮影した写真。3枚目が合成したものです。
海岸線って100年もすれば跡形もなく変わってしまうものですが、この場所は少なくとも170年前から全然変わってないことになります。人々が描かれている場所も、現在は海水浴客が集まっている場所、そのものです。

この角度のパノラマ写真を最初に撮影したのも、きっと何かのご縁なんでしょうね・・・。
このご縁が元になり、パノラマ写真撮影をやらざるを得ない状況、何だか「義務感」のようなものができてしまったわけです。